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営業の意味と50年の信頼

中村信仁さんと言う方が書いた「営業の意味」と言う本がある。
僕はこの本を大事にしている。
マーケティング理論や販売戦略、販売手法の技術的な部分を幾ら積み上げても 売れない時がある。・・・・・なぜか?
それは買われる方が「人間」だからである。
販売する側に心が無いものは、 お客様が頭で「得」と分かっていても、「何か」が引っ掛るのである。
不思議な事に「巧みな言葉」が多ければ、多いほど「不安」は増殖する。
営業の本質は「相手を想う心」だと思うが、それにもレベルがある。
若い営業マンが、簡単に「お客様を大切に思っています。」と言うが、 その期間はどれ位なのか?自分と利害関係が相反したらどうなのか?
深く考え、一度でも実践し、苦労しても出てくる言葉なのか?
そう言う経験をして、「お客さを想っています」と言えるのであれば、 本物の営業マンだと思います。
そして、それが「信頼」に発展するのだと・・・・・。
(或るお客様の話し) そのお客様は地元の旧家で不動産を沢山お持ちの大奥様です。
或る日、建設会社の若い営業マンが飛込みでチャイムを鳴らした。
大奥様は基本的に優しい方ですので、お話しをお伺いした。
何でも、アパートを建ててくれと言うのである。(こう言う話が1日に数回ある との事。聞く方も結構大変である)
そして、営業マンから「僕を信頼して下さい。」
お客様から一言。
「あんだねぇ。50年一緒にいる旦那だって信頼できねぇのに、急に来たあんだを信頼しろと言うのは、無理な話だ。」 と言って追い返したとの事。
この話をご主人は苦々しく、お隣で聞かれていた・・・・・。
信頼関係を築き、維持するのは実に大変である。